「gravity」
たんさいぼう

突発的ユニット「たんさいぼう」のミニアルバムです。
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1 焼酎ブギ
作詞・作曲:丹後雅彦(2009年)
編曲:丹後雅彦
そもそも「たんさいぼう」とは何かという話から始まるわけですが、それは3月26日の夜、井澤くんと荻窪のらく陽という店に突入したことに始まります。ネクタイゆるめた団塊サラリーマンがステージで競ってフォークを弾き語る、いわゆるフォーク酒場で我々は、勢いに任せてステージに乗り込み、あろうことか「地下鉄の一番前にのると」を、さもスタンダードフォークであるかのように堂々と演じたのでした。
その勢いを引きずったまま、翌月に六本木の焼酎居酒屋・弦月で飲んだとき、酒のチカラもあってユニットを結成することを決めたのでした。
そしてできたのがこの曲であります。
どんな曲をやるかやらないか、ジャンルは、などということを一切決めないユニットです。この曲も何の相談もせず、勝手に丹後が作って勝手に歌うことにしたのでした。
今ではあまりよく覚えていないのですが、オケが完成したのが5月22日。それまで突発的に作ったような気がします。おそらん寂の「焼酎飲むなら弦月〜」というフレーズが鼻歌的に生まれ、それから発展したのでしょう。
典型的なブルースのコードに従った、厳密にはブギではない曲なのですが、「焼酎ブルース」となるとこれき淡谷のりこの世界。いきなり涙と別れの物語になってしまうので、あえて「焼酎ブギ」としました。
歌詞は、まあ、いろいろマイナスなときは弦月で焼酎でも飲もうよという、ほとんど意味のないプロモーションソングです。
面白いことに、2番の歌詞については広告の仕事でプレゼンがうまくいかなかったことを歌ったのですが、そうは解釈されなかった様子。やりたい仕事だったのに予算が合わなくてできなかったなあ、残念だよ〜という歌詞なのに、お金がなくて女の子とエッチなことができなかった、という風に受け止められたようです。
面白いなあ。
サウンドは、けっこう気に入っています。
いろいろ仕掛けがあって、まず全編にわたってバックでリズムを刻んでいるバシッバシッという音がありますが、これはパーカッションでもなんでもなくて、実はピストルの発射音です。
ビストルのバキューンという発射音の冒頭5%だけを使って、パーカッションのように使ってみたのです。DTMならではの実験で、乾いた不思議な音で、いい感じが出たと思います。
間奏のギターは、大好きなギタリスト、ヴィンセント・ヌグイーニ。細かなギターのニュアンスで真似してみました。
そしてコーラスですが、これは丹後の一人多重録音。ポール・サイモンの「ボーン・イン・ザ・バブル」からの引用です。一度はやりたかったフレーズのコーラスで、非常に満足でした。
実際に弦月でこの曲を演奏したときは、もっと受けるかと思ったのにあまり受けなくてがっくり。今度こそは!
2 にぎやかな楽園
作詞:田原祐子 作曲:丹後雅彦(1999年)
編曲:伊達重明
以下、10年前に書いてホームページに掲載した、この曲のノートです。
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童研時代もそうでしたが、丹後の場合、新曲が生まれるのは一つのフレーズが空から降ってきてからです。
街を歩いている時、クルマに乗っている時、あるいは飲んでいる時、ふと新しいフレーズがなんの前触れもなく空から降ってくるのです。この感覚はまさに降ってくるとしか表現できないものですが、同じような経験をされた方もたくさんいるでしょう。
この曲もそうでした。1998年の1月ごろ、突然メロディーが降ってきたのです。それはサビ前の「話し声 ベルの音 風に消えてく」の4小節でした。この印象的なメロディーを一週間ほど頭の中で転がした後、ある酔っぱらった晩に久しぶりにギターを取りだして音を確認し、手書きの五線譜に書きとどめたのです。
そのメモはしばらくほったらかしにしていましたが、3月に入ってDTMを始めてしばらくたった3月26日に引っ張り出してきて、全体のメロディーづくりを始めました(このあたりは丹後ホームページ「DTM記」に紹介)。骨格が完成したのは3月29日。この時点では、チャゲアスのような甘ったるいラブソングのつもりでした。
続いて編曲作業を始めたのですが、どうもイメージがうまく固まりませんでした。
描いてたのは、少しジャジーなラブソング。しかし、なかなか思うようにいかず、全体のコードづけだけして、そのままになってしまったのです。
その後はDTMも童研の名曲集に向き、「風組」ばかりが忙しくなってしまいました。その「風組」のファーストアルバムが完成したのが7月初旬。あちこち勝手に一方的にばらまいたのですが、広島に住む田原祐子さんからお礼の手紙が来ました。そこには近況報告とともに、最近も詩作にいそしんでいる旨のことが書かれてあったのです。
ここで丹後は例によって突発的に思い立ち(たいていのことはすべて突発的な思いつきです、丹後の場合)、祐子さんにメロディーと簡単な伴奏だけのCDを送り、「詞をつけてみないか」ともちかけたわけです。
当初は甘ったるいラブソングだと思っていたこの曲ですが、次第にそれでは実につまらない。最近のよくある流行歌となんら変わらないではないかと考えるようになりました。
別にプロとして売れる歌をつくるわけじゃないし、何かに発表したり、誰かに依頼されたわけでもない。ならば、なんの制約も受けずに自由につくろうと思ったのです。そこで浮かんできたキーワードが「喪失感」でした。
このキーワードを軸に、実は頭の中ではいろいろと言葉を転がしてはいたのですが、童研のバーチャル部室が盛り上がっていたこともあり、ここらで昔のようなコラボレーションの歌づくりも面白いと考え、祐子さんに依頼したのです。
祐子さんには「キーワードは喪失感。まったく好きにつくってくれてかまわない」とだけ伝えました。彼女は「いい意味で期待を裏切りたいと思う」と応え、約2週間後に、詞が届いたのです。「にぎやかな楽園」という題名でした。
ここに描かれているのは、やるせない無常感と孤独感。祐子さんならではの世界が展開されていたのです。
心をとらえるフレーズが惜しげなくちりばめられたこの詞には「ラブソングだけにはしたくなかった。あとはどう料理しようとお任せです」とのメッセージが添えられていました。
さて、この詞をあてはめ、どうやって曲にしていこうかと考えた時、これはもう丹後の力量では難しいので、コラボレーションするならとことんやっちゃえとばかりに、伊達君にアレンジを持ちかけたのです。
呼びかけに応え、伊達君はバーチャル部室上で快く了解してくれました。間もなく学校が夏休みに入るということもあったのでしょうが、丹後としてはとてもうれしかったです。
早速伊達君にメロディーの譜面とコード、祐子さんの詞をファクス。あとはどうにでも料理して欲しいと伝えました。受け取った伊達君は、かなり悩んだ様子でしたが、「スピッツでいくことにした!」と決心。編曲作業に着手しました。
その最初の譜面が上がってきたのが8月22日。事務所まで譜面を持参してくれた伊達君の前で、すぐさまイントロを打ち込んでみましたが、こちらもいい意味で予想を裏切るものでした。
さすがの出来であり、このイントロだけで丹後には書けなかった譜面だということがわかったのです。
その後、一週間ほどで打ち込みが完成。8月31日に伊達君が事務所までやってきて、音の確認をし、その後、CDに焼いて持ち帰ってさらに詳しくサウンドチェックをしてもらいました。
さて、伊達君からは細かなサウンドチェック後の譜面が届き、丹後が再度訂正してCDを郵送。伊達君からまた訂正が「これで最後です」とのメッセージとともにメールで届きました。これが9月6日のことでした。
こうして18年ぶりに童研のメンバーと音楽づくりをした結果、「にぎやかな楽園」が完成したのです。実はこの間、ずっと伊達君と共通の問題がありました。言うまでもなく、歌です。
ボーカルです。祐子さんは「井沢さんが歌うのをイメージして詞を書いた」とのことでしたが、言われるまでもなく、ボーカルと言えば井沢君しかいません。
これは伊達君と共通した当初からの認識で、童謡歌手・いさわしの顔を持つ井沢君本人も歌うことに関しては快く了解してくれました。
しかし、なんといってもルクセンブルグ在住。それは無理ってもんです。結局帰国や日本出張の予定も見えないようなので、これは彼の帰国する日を待つことになりました。
ならば伊達君に歌ってもらおうと思いましたが、なにしろ2オクターブもある歌で、伊達君も歌いきる自信がないとのこと。パソコンに歌わせるという手もあったのですが、マッキントッシュ版のソフトが開発中で、仮にそれを待ったとしてもかなりの技術が求められることに加え、どうやったって人間の声にはかなわないのはわかりきっています。結果的に今回はボーカルはあきらめ、歌入り版は井沢君の帰国を待ってからということになったのでした。
さて、曲についてですが、メロディーに関してはサビ前のフレーズが一番印象的になるようもつくっています。
そのためサビ自体は、盛り上がるところではあるものの、サビ前フレーズほど印象的ではないでしょう。童研時代同様、印象に残るフレーズだけで一発勝負の歌づくりをしていた丹後の手法は今も残っているのでした。
2オクターブもあって、歌う人のことを考えていないというのも、昔ながらです。なにしろ本人が歌えない。
伊達君のアレンジは、素晴らしいです。丹後はシンプルなアレンジをイメージしていましたが、伊達君はストリングスで泣かせ、ブラスで謳い上げるアレンジにしました。ピアノもさすがで、サビ前のところなど最高。目立たないですが、実はフルートもしびれるような仕事をしています。
特に驚いたのが間奏で、当初伊達君はギターをいれる予定でしたが、DTMでは難しいということで、このようなアレンジにしてくれました。丹後だったらギターのかわりにシンセサイザーで逃げるところですが、ここでストリングスで泣かせるのが伊達君です。拍手。
もし仕上がりに気になるところがあれば、それはアレンジャーの伊達君ではなく、打ち込み担当の丹後の責任です。その理由というか言い訳については、このページの下の方に書いています。
一方の詞ですが、これは前述の通り、無常感あふれるせつない仕上がりです。この「僕」とは誰なんだろう。彼は人ごみで何を思っているのだろう。彼が追い続けている「君」とは、どんな存在なんだろう。「偶然は一番確かな約束だけど」というフレーズは大好きです。
歌として、非常にいい出来だと思います。その魅力のほとんどは、丹後のお願いに応えてくださった祐子さんと伊達君の力によるものです。
みなさんもぜひ小声で歌ってみてください。その思いもあって、カラオケ版も入れました。井沢君がいつか歌ってくれることを想像しながら、歌ってください。もちろん井沢君はその日のための練習用に、どうぞ。
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というわけで、ほとんど付け足すこともないのですが、このときのアレンジ譜面をほぼそのまま、今回も再現しました。ただ、テクノロジーの進歩で、音源そのものがすさまじくよくなっているので、音的にはかなり進んだものになっています。
ボーカルは井澤くんでなければ無理ですね。何度も歌い直して収録しました。
難しかったのは録音で、こういうボーカルになると自宅録音は限界です。当然、ミックスでも無理がきて、タンゴはまだまだ未熟だなあと反省するばかり。
でも、いい歌でしょ? 長い間、なんとかしなければと思っていた歌に一区切りをつけることができ、井澤くんもタンゴもちょっと肩の荷を降ろした気分です。
3 地下鉄のいちばん前にのると〜プロローグとエピローグを添えて
作詞・作曲:井澤正(1980年)
編曲:伊達重明
どこにでもある日曜日
作詞:井澤正
作曲・編曲:丹後雅彦
「地下鉄」は、1980年の録音です。今からなんと29年前。
ドラムが佐竹くんでベースはえーじくん、キーボードが伊達くんで、リードギターが丹後。恐ろしいことにサイドギターがあの鎌田くんで、後年、世界の鎌田として数々の輝かしい実績を挙げることになるギタリストに対して丹後は「お前はそこでオレのバックをやってろよ」と命じたのですから、まったく若さとは怖いものです。
そしてそれに応えた鎌田くん「いやあ、丹後さんのギター、いいっすねー」と笑ってくれて、なんとも今になって申し訳ないです。
その丹後のギター、思い切りとちってます。コーラスは誰だったか、もう忘れたけれど、この適当さはダメでしょう(笑)。それでも録音し直さなかったのは、その時間がなかったからだし、そもそもが全部一発録りという無謀な録音だったことが今思い返しても大笑いです。
今回はこの恥ずかしい音源をそのまま使いました。原盤は左右のパンがむちゃくちゃだったので多少修正。それ以外はまんまです。
これに新しくつくってくっつけたのが、「どこにでもある日曜日」です。作詞は井澤くんで、作曲は丹後。井澤くんは5分でちゃちゃっと作詞したそうですし、丹後も5分でちゃらちゃらっと曲をつけてしまいました。
この曲でも「焼酎ブギ」同様、リズムにちょっと工夫しています。イントラから、とっとことっとこと細かくリズムを刻んでいるのは、実はギターの弦の音です。通常の発音の5%ほどの短さにして、パーカッションのように使ってみたのでした。
よく聴けばギターの音とわかるのですが、ちょっと聴く分には何の楽器だかわからず、なかなかいい感じが出ました。
フォーク調の曲で、自分でもなかなか好きです。何よりも詞がいい。
昔を振り返りつつも、けっして引きずらない、どこにでもある話だと片付けてしまうところが、いいですね。大人になったみんなが再開して、でも、日曜日だけのことで終わらせて、明日からはまた日常に戻っていこうよという歌です。「今日のことなど、忘れてしまえ」という一曲目のフレーズが、ここで違う意味を持って再び浮かび上がってくるというわけです。
スコアメーカー5.0(KAWAI)/ CubaseSL3(Steinberg)/
melodyne(celemony)/VintageWarmer Plus(PSP Audioware)/
SoundEngine ver3.05(Cycle of 5th)/ MW10(YAMAHA)/
MOTIF-RACK ES (YAMAHA)/ UA-24(Roland)/
Cardinal(ElectroVoice)/ RH-A30(ROLAND)/
MDR-CD900ST(SONY)/ AMP800(BEHRINGER)/
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all songs arranged & produced by 丹後雅彦
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Manufactured by
一枚一枚まごころ込めた手焼きがモットーの
練馬せんべいレコード社
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