「毎日いちごをたべて暮らしましょう。」
オルケスタ・デ・ラ・タンゴ風組ランサルセ

学生時代に所属していた童謡研究会(現在は廃部)で発表された星の数ほどの創作童謡の中から、いくつかをピックアップしてアレンジし、収録しました。
お聴きくださる方には、CDをお送りいたします。ご希望の方は住所等をメールください。もちろん、送料含め一切無料です。
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「だてポンのライナーノート」
枯人2号ことだてポンが、ていねいなライナーノートをつくってくれました。
1 いちご姫 2:42
作詞:若尾さや子 作曲:伊豆原哲彦(1977年)
歌:丹後比美子、伊豆原哲彦、丹後野乃花
小林キヨシというジャズミュージシャンがいます。アコースティックギターやウクレレを弾く人です。この人のスウィングジャズがとっても心地よくて、大好きです。仕事をしながらよく聴いています。
「いちご姫」では、そのテイストを出してみたいと思いました。どちらかというとカントリーっぽいアレンジが多かったこの曲ですが、こうしてスウィングの匂いをさせてみても、けっこう楽しめるのでした。
シンプルに聴こえるアレンジですが、実はギターだけでも7台使っています。手の込んだことをやっていて、それがシンプルに聴こえるというのは、アレンジとしてはしてやったりなのでした。
オリジナルは1977年、若尾さんと伊豆原君の作品です。「いちごが大好きなお姫さま」というファンタジーに、伊豆原君のわかりやすくて軽快なメロディーがぴったりです。童研の人間なら知らない人はいない定番曲でしょう。
アレンジはこのようにけっこうご機嫌に仕上がりました。そして、この曲は何と言っても歌、ボーカルです。まるで、モー娘。に指導するつんくのように、私、タコプロデューサーが比美子にこと細かく指導。そのテストバージョンがこれでした。
えーと、毎日いちごを食べて暮らしたいというバカなことを考えているようなバカなお姫さまなのだから、それにぴったりのバカな歌い方をさせたかったのです。
実はこれはテストボーカルで、本番は後で収録したのですが、そちらはけっこう作り込みすぎてしまって、引き気味になってしまいました。それよりも、いくらか素のニュアンスの残るこのテストバージョンのほうがよかろうという判断で、このテイクを残しました。
ただ、なにしろテストということでの気楽なボーカル録音です。あちこちにいろいろとノイズが入っています。それでもなおこちらのテイクのほうがいい雰囲気だったということです。
最後のワンフレーズは、このためだけにわざわざ来てくれた伊豆原君の絶品ボーカル。テイク20まで収録した中の、テイク16を使っています。
実は伊豆原君、途中でこの企画の主旨を理解して「これじゃオレがバカみたいじゃないか」と激怒したのですが、録音が進むにつれて次第に乗ってきて、結局はお聴きのようなご機嫌なボーカルを披露してくれたのです。
王子、素晴らしい。最高のテイクでありました。このワンフレーズですべてを持って行ってしまいました。
この伊豆原君のボーカルですが、ノリがよすぎて何度もレベルオーバーになってしまいました。採用のテイク16も、実はレベルオーバーでびびっています。他のテイクにびびっていないものもあったのですが、ノリで行けばこれが一番なので、迷わず決定。波形編集作業でなんとかびびりを取ろうと努力しました。
パーフェクトではないけれど、ある程度は形になったかなと。こういう技術も、雑誌を読んだりしながらトライ&エラーで勉強しているのでありました。
なお、言うまでもないことですが、CDのタイトルは、この伊豆原君のボーカルが録れた瞬間に決定したのでした。
なお、出だしの「毎日、いちご?」は、娘の一言です。彼女の名前をクレジットに載せるのをうっかり忘れてしまいました。カンペキにケアレスミス。お恥ずかしい。娘にばれないよう、祈るのみです。
アレンジ完成:2008.9.22
2 おしいれタイムマシンにのって 3:02
「おしれタイムマシン」作詞:山本美香 作曲:村田久美子(1986年)
「タイムマシーンにのって」作詞:岐部友信 作曲:中山陽司(1975年)
歌:井澤正、飯野陽司
テクノユニットのPerfumeがちょっと気に入っちゃってて、テクノもかじってみようかなあなんて思ってアレンジしたものです。出だしでおとなしく、テンポアップしてからは一気に音圧を上げて、テクノっぽいドンドンピコピコ感を出してみました。
曲は、70年代半ばの「タイムマシーンにのって」と、80年代半ばの「おしいれタイムマシン」をくっつけました。前者はよく知っているけど、後者はまったく知らない歌です。創作童謡をぺらぺらめくっていて見つけました。
おそらくこの歌は当時の人気投票で1位だったのではないでしょうか。創作童謡のトップに掲載されています。このアレンジを考えていたときに、「タイムマシーンにのって」をくっつけてしまったらどうだろうというアイデアに行き着きました。
ボーカル録音の時に井澤君と話したのですが、「おしいれタイムマシン」のメロディーって、実はこの時代独特のものです。我々の世代が歌うと、つい別の符割りになってしまう。伊達君も以前同じようなことを言ってましたが、どうも70年代組と80年代組では聴きながら育った音楽が明らかに異なるようで、それがメロディーに反映されているようです。
テクノ系のアレンジで難しいのは、音色の選択です。
シンセサイザーを何台も使って、選んでは重ねての繰り返し。結局最終的には無難なものに落ち着きました。もっと冒険もアリでしょうが、まだまだ技術が足りません。
ボーカルは、芸達者の2人にお任せです。井澤君も親分も、実に元気でドライブ感たっぷりボーカルをくれました。特に後半、親分のソロから井澤君のソロに引き渡されるところのドライブ感などは、アレンジャーである僕自身がとても気持ちよかった。
井澤君のボーカルは、何度かに分けて録って重ねています。親分の最後のほうの追いかけハモは、ソフトで加工してハモりにしています。
また、間奏の井澤君の語りは、何かやってというリクエストに応えた即興。アドリブです。一度練習でやって、"怪しい見せ物小屋の呼び込みみたいに"というタンゴのリクエストに応じたしゃべりでした。
このテイクは、企画ものなれど、自分でも大好きです。
アレンジ完成:2008.7.7
3 ゆめのまど 1:32
作詞:坂本恵子 作曲:鈴木義秋(1966年)
歌:関川恵理子
このCDで最も古い1966年の作品です。
なんと43年前。丹後はまだ6歳で、歌ってくれているえりずーさんはまだ生まれていません。作者がどんな方で、今どうしていらっしゃるのかも、さっぱりわかりません。
大学4年の時、古い創作童謡を伊達君たちと一緒に掘り起こしたのですが、この歌はその一曲だったと記憶しています。昔の歌はやはりいかにも童謡っぽく、普通ならこれをAメロとしてBメロに展開され、そしてサビに行くという流れでしょうが、あっさりこれで終わるところが、いかにもという感じです。
デモを聴いた伊達君、「タンゴさん、岡崎友紀のファンでしょ」と一発で見破りました。そうです、これは「奥様は18歳」からいただいたアレンジなのでした。さすが、伊達君です。
音飛びや息継ぎなど、短くても案外難しい歌です。ボーカルのえりずーさん、可愛らしくまとめてくれました。
アレンジ完成:2008.7.7
4 去りゆく人へ 3:01
作詞:矢野安子 作曲;宮原邦夫(1980年)
歌:飯野陽司
確かその年の創作童謡にも選ばれなかった、地味な作品でした。ただ、宮原君のつくったメロディーが、矢野さんの詞の世界と見事にフィットして、若い切なさのようなものを伴って迫ってくるのでした。
しみじみとしたいい歌だと思います。でも、童謡じゃないなあ。創作童謡というくくりでは残ることは確かに難しかったでしょう。
公園通りに電話ボックス。70年代から80年代にかけての渋谷の街並みを思い出します。公園通りにあった詩仙堂という喫茶店は、よく行ったなあ。今はどうしようもない街になってしまった渋谷ですが、あの頃は大人の落ち着いた街でした。
渋谷を舞台にした詞の世界にインスパイアされたわけではありませんが、アレンジでイメージしたのはサザンオールスターズのようなバンドサウンドです。イントロのギターなどはその典型。オルガンもそんな風味を引き立てるだろうと思いました。
ギターは7台使い、その他、パーカッションもたっぷりで、割と多くの楽器を使っています。そのためミックスの棲み分けが難しかった。実際の音をイメージしながらアレンジの譜面を書きつつ、それがいざ音になったときにイメージ通りになるかどうか、そこがアレンジの面白さです。
ボーカルは中山親分。いい歌ですが、実際に歌うとなると難しい。親分、500回以上は練習したうえで収録してくれました。
いったん歌ってくれて、しかし、その出来が今ひとつだったので、あえてお願いして歌い直してもらいました。全部で10テイク録っています。
最終的にはいくつかのテイクを組み合わせていますが、前半は目の前の人に語りかけるように、サビでは遠くの人に背中に贈るように、歌のニュアンスを変えてもらいました。
とてもいい歌で、個人的にも大好きな歌です。マリオネットやパントマイムや、そんな不思議なアイテムが効いている、一種独特の心象風景を持った歌だと思います。
アレンジ完成:2008.10.8
5 びりっかすのこねこ 0:51
作詞:山田浩子 作曲:村田直子(1986年)
歌:丹後比美子
80年代半ばは、創作童謡、けっこう名曲がそろっています。ただ、70年代の丹後と90年代のヨメなので、それをよく知らないのでした。そこで創作童謡をひっくり返しては楽譜を見て、再発見の旅を楽しんでいます。
「おしいれタイムマシン」の作曲者と、この作曲者は、どちらも村田さん。同じ時期に活動したダブル村田さんのようで、どちらも大きな足跡を残しています。特に村田直子さんはあの名曲「雨のドライブ」の作者。土橋君によれば「新しい曲を電話口で歌うと、次の日には譜面にして持ってきてくれた」とのことだそうで、童研の音楽面を支えていた人のようです。
この曲は、その村田直子さんの小曲。とても可愛らしい曲です。
しかし、可愛いけれど、それだけじゃなくて、きちっと整っているのが素晴らしいところです。
アレンジは、曲の雰囲気を大切に、可愛らしくまとめました。2番からベースが入っていますが、これは実はオルガンの音です。
最初はウッドベースを入れていたのですが、どうにも重く、曲のイメージにそぐわないので悩み、結局オルガンに替わりをさせることにしたのです。これが案外よくって、いい感じのベースになりました。
ボーカルのイメージは「お母さんといっしょ」の歌のお姉さんの感じです。
アレンジ完成:2008.11.14
6 鳥になって 3:36
作詞:金子晴美 作曲:文野 武(1991年)
歌:文野武
期待の大型新人、文野くんの登場です。
この曲は以前から大好きでした。後輩たちがまとめた音源に入っていて、その独特の世界観が心地よかったのです。
この音源では、文野くんはアコースティックギターを弾いていました。文野くんの本職はピアノなのですが、あえてギターを弾いていて、それが実に味があるというか。
ちょっと脱線しますが、栗コーダーというリコーダーグループがいて、なかなかにいい音楽をやっています。このメンバーは実は他の楽器が達者なのに、あえて不得手なリコーダーを演奏しているのです。すると、演奏技術でごまかされない音楽性というものが実によく出てきて、なんともいえない味がわいてくるのです。文野くんのギターも、ちょうどそんな感じでした。
文野くんは確か高校時代をアメリカで過ごした人で、土橋君によれば「思春期にアメリカの音楽のシャワーを浴びた」そうです。その音楽的な感性や知識、技術は非常にしっかりしたものを持っています。
このように僕はベタほめするわけですが、長年願っていた文野くんのボーカルがこうしてやっと実現したので、非常に嬉しかったです。
文野くんがボーカルをやってくれるなら、最初の曲はこれしかないと思っていました。曲想はウェストコースト的な緩さというか、はっぴいえんどか。文野くんによれば「70年代のイメージ」だそうです。
アレンジは文野くんのボーカルを全面に出しています。バックはリズムをしっかり取って、あとはおとなしめに。あくまで文野くんのボーカルがメインです。
親分にも通じる柔らかくて暖かなボーカルは絶品。そして、どうしてもやりたかった文野コーラスも、ここで実現です。この間奏のハーモニーは絶品。三声の重ねは、タツローもかくやというほどの一人コーラス。ミックスで、いくつかのテイクを重ねて奥行きを出しました。もちろんリバーブはたっぷりと、です。
エンディングでもやはり一人ハーモニーしていますが、それに重なるスキャットは、その場でアドリブでやってもらいました。
とても心地よい音ができて、アレンジャーとしても嬉しく思っています。ぜひ皆さんもたっぷり浸っていただければと。
この人の声は、人をシアワセにします。ほんとに。
実は文野くんは、ハードなロックのボーカルも最高だそうで、妻に言わせると「すっごいよ」とのこと。今度はロックに挑戦です。
アレンジについてですが、ゆるめの感じで、自分としてはデビュー直後のチューリップをイメージしています。あの隠れた名曲「千鳥橋渋滞」です。バックでジャカジャカ鳴っているギターは、サイモンとガーファンクル「ニューヨークの少年」のイメージ。例によってギターは何台もたっぷりと重ねました。律儀にリズムを取っているガットギターが、案外いい仕事をしているでしょう。
アレンジ完成:2008.11.29
7 雨のコンサート 1:28
作詞:奥田一雄 作曲:田上正典(1971年)
歌:飯野陽司
1971年というから、丹後が中学2年の時の創作童謡です。そう考えると、すごいなあ。
この歌は、我々の世代ではかろうじてよくシングアウトしました。その後の世代は、もう知らないのではないでしょうか。
歌詞が時代を感じさせるようで、雨が屋根に当たって音を立てるなんて、今の子供は想像できないでしょう。トタン屋根なんて、もう見かけないし。高度成長期の町の風景ですね。
曲はシンプルなコード展開のわかりやすいメロディー。誰でも一回で覚えられるくらいです。
だからアレンジも簡単、シンプルに。得意のブルーグラスで、あっさり仕上げました。こういうアレンジはお約束フレーズをどんどん使っていけば、ご機嫌に仕上がるのでした。
そしてボーカル。親分は、収録前に奥様に聞いて、学生時代にどんな風に歌っていたかを再確認して臨みました。バックのハモは、奥様直伝。つまりリ当時の童研のアルなコーラスの再現なのでした。
最初は割としっとりと歌っていた親分、次第に本来の姿になり、最後は元気いっぱい、明るいボーカルが録れました。
アレンジ完成:2008.11.11
8 ぽかぽか陽日 2:33
作詞・作曲:佐藤純子(1994年)
歌:吉江英司
このCDで一番若い歌です。「ゆめのまど」とは、実に28年の開きが。親子の開きですね。
廃部となってしまった童研の、ほとんど末期の頃の歌です。作者の佐藤さんはこの時代にたくさんの歌をつくっています。いつの時代にも、彼女のように歌づくりに大きな足跡を残した人がいたのですね。
もちろん一度も聴いたことのない歌で、譜面のみからの再現でした。歌のイメージから、アレンジは楽しく、ゆるい、フォーク調。ギターを抱えてぼそぼそやってる感じです。
とくると、ボーカルは英司君しかいません。最近、どんどん歌の方面で存在感を高めている英司君。今回は、多摩川沿いをのんびりと自転車で走り、土手でビールを飲んでいるようなゆるさで歌って欲しいとお願いしました。イメージとしては高田渡ですね。
このリクエストに応え、英司君、ジャストミートのボーカルです。エンディングのタイミングのみ少々いじりましたが、あとはピッチも含め、ミックスではまったくいじっていません。英司君ならではの味が楽しめる仕上がりです。
アレンジ完成:2008.7.21
9 サボテンの幸せ 3:00
作詞:金子晴美 作曲:関川恵理子(1992年)
歌l:関川恵理子
えりずーさんの曲を何かと思ってご本人に伺ったところ、この曲を、とのことでした。
あれは確か99年頃、えりずーさんたちが自らつくったテープにこの曲が入っていて、そのミックスの時に「間奏を大きくして欲しい」とお願いされたのを覚えています。1992年創作童謡のテープで、あれも楽しいテープでした。後輩たちの積極的な活動ぶりと、その音楽性の高さにはびっくりしたものでした。
この曲は丹後も大好きです。途中の「シアワセ」が、いいです。
アレンジは、最初ハワイアンで行こうかどうしようか迷い、結局、ややカリプソ臭のする軽いタッチに。のんびり感を出したかった。
レコーディングの時、この詞の世界についていろいろと話し合い、故郷から遠く離れた場所に連れてこられて、動くこともできないから一日中故郷を思い出していて、でも、悲しいんじゃなくてシアワセを感じるなんて、きっとこのサボテンは天然だ、ということで意見が一致しました。
その話の後、えりずーさんのボーカルがぐっとよくなったのは印象的でした。
詞の意味をじっくりと考えて、作者はどういう思いなのだろうと読んでから歌うのが親分。詞の世界観を考えて、どんなシーンを描こうかと歌うのが井澤君。詞をじっくりと読み込んでいくのは、歌にとって大切なことなのでした。
アレンジ完成:2008.11.21
10 かざぐるま 2:17
作詞・作曲:丹後雅彦(1978年)
歌l:飯野陽司
タンゴが大学3年の時に作った歌です。名詞を並べてすべて体言止めという、演歌のような歌詞になっています。故郷の新潟を思って書いた歌でした。あぜ道やら黄金の田んぼやら、田舎感たっぷりの歌です。
アレンジはけっこう気に入っております。ベースを2台使うなど、それなりに多くの音を使いつつ、省くところは大胆に省くというメリハリがうまくできました。
ボーカルは、親分以外になし。こういう歌を歌わせたら、この人しかいないでしょう。「なんちゅう難しい歌だ」と言いながらこなしてくれました。ちなみにこのCDで最初に完成したトラックがこれです。
なお、大音量で聴いていただくと、背景にかすかに水の音が聴き取れると思います。これは2008年5月3日の早朝、タンゴの実家を流れる川で録音した川音です。使ったのはZOOMというメーカーのH2というハンディレコーダー。近くの畑で僕の父と僕の息子が、一緒になって野菜に水まきしているとき、一人で川に近づいて収録したのでした。
子どもの頃は夏休みになるとよくこの川で泳いだものでした。5月の早朝、7時前の澄んだ空気の音も録れたようでした。
実際にはほとんど聴き取れないぐらい、小さく使っています。なぜこんなことをしたかというと、あるエンジニアがやっているのを雑誌で読んだから。そのエンジニアはスタジオの近くの海の音を自分で録音し、やはりほとんど聴き取れないぐらいの音量で使っているのでした。
そのエンジニアが言うには「床屋さんが、最後の最後にチョキンとハサミを入れるようなもの」とのことで、これを聴いてなるほどと思ったのでした。こういう無駄は、けっこう好きです。
アレンジ完成:2008.5.13
11 メリークリスマス 2:28
作詞:田原明子 作曲:丹後雅彦(1980年)
歌:井澤正、伊達重明 コーラス:伊達重明、丹後比美子、丹後咲杜、丹後野乃花
タンゴが大学4年のときにつくった歌です。シンプルなメロディーで珍しいことに臨時記号もついてなく、歌いやすい曲となりました。ちなみに「滝のうた」とほぼ同じメロディーラインです。
以前クリスマスアルバムをつくったときに入れたかったのですが、間に合わなかったので、今回改めて入れることにしました。
歌は井澤君。伊達君がサビの部分をユニゾンで一緒に歌い、メリークリスマスのコーラスは伊達君と比美子、子供たちが歌っています。このメリークリスマスのサビの部分を何度も歌うのが、楽しくていいのでした。
アレンジではリズムづくりから始めています。基本はサンバなのですが、サンバになりきれていない不思議なリズムができました。これに間奏で笛がアイリッシュなメロディーを奏でます。こういう異種格闘技みたいなごった煮のアレンジは、大好きです。
例えばポール・サイモンの「グレイスランド」という曲は、アメリカとアフリカのミュージシャンが一緒演奏していて、カントリーっぽいギターにアフリカの泥臭い太鼓がからむというしびれるような音です。そんな究極の音にはとても届きませんが、まあ、思いだけはあるということです。
個人的にはリコーダーのフレーズが気に入っていますが。
それにしてもこれだけたくさんの楽器を使っていると(歌も入れると全部で49トラック!)、ミックスがすごく難しい。もっと広がりのある音が創れていいのに、まだまだ未熟であります。
アレンジ完成:2008.10.21
12 雨の子レイン 2:35
作詞:樺沢弘美 作曲:泉野泰宏(1986年)
歌:丹後比美子 セリフ:丹後野乃花
80年代には童研の音楽レベルが一気に上がり、様々なタイプの歌が作られました。埋もれている名曲はたくさんあるようです。
これは以前の創作童謡全集でも紹介された、可愛らしい一曲。ギター弾きの泉野君らしい、フォークっぽいメロディーが素敵です。
このレインという子は、そういう名前の子供という設定なのでしょうか。それとも雨が降ると現れる、妖精のような存在なのでしょうか。ちょっと不思議な詞です。
ボーカルは、創作童謡全集と同じく比美子です。そしてセリフの部分を娘の野乃花が担当しました。子供でもマイクを前にすると緊張するようで、ちょっと硬いレインになりました。
セリフの所に雨の効果音を入れてみましたが、雨って案外いい音がしないんですねえ。難しかった。「雨のコンサート」のような楽しい雨の音というのは、実際はなかなかないようです。
アレンジ完成:2008.7.3
13 むかしむかしのそのむかし 1:49
作詞:田中智子 作曲:鎌田慶昭(1978年)
歌l:井澤 正
これは伊達君たちがつくったレコードに収録されていたと思います。
智子さんの昔話ふうの詞に、鎌田君がわかりやすいメロディーをつけています。でも、案外こういうメロディーは書けないものだと思います。無理なく、誰でも自然に覚えられるメロディーです。
アレンジは、ガラッと変えました。お聴きの通り、ベンチャーズであり、グループサウンズであり。60年代のテケテケをやっています。こういうアレンジもけっこう楽しいのでした。
イントロは、スプートニクスという北欧のエレキグループのヒット曲「夜空の終列車」です。し、しぶっ。
スプートニクスというのはタンゴが中学生の頃によくベストアルバムを聴きました。もちろん今では手元にありません。
しかし、もしやと思ってYouTubeを検索したら、なんと、ありましたよ「夜空の終列車」。もう嬉しくて懐かしくて、何度も聴いてしまいました。
イントロ以降はベンチャーズです。ダイヤモンドヘッドです。こちらもライブ映像が山のようにYouTubeにあって、よく見たらギターの高い音は弦を弾くように出しているのがわかりました。その音の再現は無理だったので、チョーキングで処理しました。
シンプルではあるけれど、自分としてはけっこう楽しいアレンジでした。
歌ってくれたのは、かつてレコードでも歌ってくれた井澤君。今回はどんな感じにしようかと話し合って、前川清で行くことにしました。結果はお聴きの通り。なんとも味のあるボーカルです。
実は、ここまできたらいっそクールファイブに、ということで「わわわわ〜」コーラスも録ってみたのですが、あまりしっくりこなかったので最終的にソロの前川清にしました。
アレンジ完成:2008.12.31
14 ハゲ 0:41
作詞:堀江 崇 作曲:鈴木卓生(1993年)
歌:飯野陽司 コーラス:吉江英司、伊達重明
様々なタイプの歌が作られたのは90年代も同じであったようで、えーと、これもやっぱりその一つです。
とても楽しい歌です。解説するまでもなく、こういう歌です。今ならぎりぎり放送禁止か?
歌詞にアルシンドとあるのが、面白いですね。あの頃に作られた歌というわけです。
この曲を入れると決めたとき、ボーカルは親分しかいないとわかっていました。しかし、お願いして怒られたらどうしよう。ずいぶん迷った末、思い切って「ハゲという歌なんですが」とメールしたところ、「いいよ〜」という快い返事でした。ホッ。
ところが親分、ハゲではなくて「ハグ」だと勘違いし、なんてしゃれた歌だろうと引き受けたのだそうです。いざカラオケと譜面が届いて、ハグではなくて「ハゲ」だと知って腰を抜かしたものの、しっかりと歌ってくれたのでした。
コーラスについては、まったくの不意打ちです。録音の日、えーじ君と伊達君の2人を「ちょっと来て」とマイクの前に連れて行き、逃げられないようにして、さあ歌えとぶっつけ本番で歌わせたのでした。なんてひどいんだ、オレは。
ともかくこの3人の博愛と奉仕があってできた歌です。聴くとあっという間に終わってしまう短い歌ですが、そこに含まれているものはとても深いのでした。
なお、最後のつぶやき(ぼやき?)は、親分のリクエストにより後日、特別に加えたものです。
そういや以前、キベさんが中山さんに「中山って床屋に行くの?」と訊くところに出くわし、親分がすました顔で「行くよ」と答えたのを目撃しました。その日は夜まで腹筋のけいれんがおさまりませんでした。
アレンジ完成:2008.12.21
15 私のお花畑 1:59
作詞:佐々木典子 作曲:井澤正(1980年)
歌:いさわ・ただし コーラス:関川恵理子、丹後比美子
なんとも楽しい仕上がりになりました。
実は丹後が当初イメージしていたのは、クイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」でした。まんま、あのアレンジで、サッカースタジアムのような骨太の怒号をおっかけリピートで使おうと思ったのです。しかし、さすがにやり過ぎかなあと思い、井澤君にも相談の上、方向転換。得意の軽めのスイングジャズにアレンジしました。
ここにビッグアイデアをくれたのが井澤君。録音の時にアドリブで一人追っかけを何パターンか入れてくれたのです。ついでに英語のラジオも。
追っかけコーラスはもともと、えりずーさんと比美子の「けろけろず」をイメージしていたので、ほとんどぶっつけ本番でコーラスを依頼。それらの素材をあれこれいじまわして、このような仕上げにしました。とてもにぎやかで、楽しい歌です。
ウチの娘はこれを聴いて大喜び。今では大好きな歌になりました。
作詞者の佐々木さん、通称のんちゃん、喜んでくれるかしら。
アレンジ完成:2009.1.4
16 夢のつづき 2:08
作詞・作曲:豊田 英里子(1979年)
歌:大沢英里子
豊田さんの童研デビュー曲にしてあっさり年間一位を射止めた名曲です。とっても短い曲なんだけれど、独特の品というか美しさがあって、とても人気の高い曲でした。
かつてレコードにしたときのアレンジはギターとフルートというものでしたが、今回はリズム部隊をきちんとつくってフォークロック風にしてみました。例によってアコースティックギターは2台、エレキギターは4台、太鼓ではスネアを3台使っています。
この曲もずいぶん前にアレンジが終わっていて、歌手も英里子さんにお願いしていたのですが、事情があって録音が延び延びになり、とうとう一番最後に収録することになりました。前夜から一生懸命に練習していたという英里子さん、今回は地声でというリクエストに応えて、このようにしっとりした大人のボーカルを披露してくれました。
ミックスはけっこう難しかったのですが、仕上がりはとても心地よいものになったと思います。
ハラホロヒ〜は名フレーズだなあ。
アレンジ完成:2008.4.30
17 おやすみなさい坊や 3:48
作詞:藤本理恵 作曲:伊達重明(1978年)
歌:伊達重明
伊達君の童研デビュー曲だったと思います。期待の大型新人ということで入部当初から注目されていた伊達君、さてどんな歌を作るのだろうという視線の中、発表したのがこれでした。
シンプルなコード進行の短い歌ですが、そのメロディーのセンスのよさ、ブルースという曲調、セブンスコードの巧みさなど、みんなびっくりしたのでした。
そのデビュー曲を、31年後に作者自ら歌ってくれました。
アレンジは当然アコースティックなブルースです。ポイントはブルースハープ。実はDTMでは吹きもの系の楽器はたいへんに難しく、中でもハーモニカはリアルに再現するのがかなり困難です。今回はあえてそれに挑戦し、だいぶ感じは出せたかなと思っています。
あとは3番のジャズギター。もうちょっと黒っぽい音色にメロディーを書ければよかったのですが、このへんの感覚、センスというのはやっぱり出せません。
伊達君のボーカル、さすが相当に歌い込んだだけあって、見事です。実は3番の転調はかなり難しいのですが、見事にこなしてくれました。
ミックスの際、タンゴはだいたいボーカルのメロディーを分析して、ピッチの外れたところは正しく修正したり、音量を整えたりしています。こうした作業がほとんど不要なのが伊達君のボーカル。ピッチも毎回ほぼ完璧なのでした。
アレンジ完成:2008.11.13
18 こんにちはおはようさん 2:07
作詞:長島良治 作曲:関川恵理子(1991年)
歌:関川恵理子
確か、えりずーさんの童研デビュー曲だったと聞いた記憶があります。メロディーが先にできて、それに合う歌詞を見つけ出してきた、という話だったと思います。
童話のようなメルヘンの世界で、とても可愛らしい歌です。それをハワイアンにしてみました。春なのにハワイアンというのもちょっとですけど、でも、まあいいや、楽しいから。
ちなみにこのCDで全体的にウクレレが多いのは、丹後がここのところずっとウクレレにはまっているからでした。
ボーカルはもちろん作者本人。このアレンジに合わせて、ゆる〜く、桃井かおりのイメージで歌ってくださいとリクエストしたら、お聴きのようにちょっとアダルトで物憂い感じに仕上がりました。なんか、気に入っています。
アレンジ完成:2008.12.26
19 みんなが駈けてくる 3:42
作詞:桑原正光 作曲:服部重麿(1983年)
歌l:井澤正
なんとも不思議なくわもの詞です。創作童謡をぱらぱらとめくっていて、目に止まりました。実はこの年の創作童謡には、もう一つ、くわもの怪作「びっこのねこ」というのがあります。こっちにしようかと迷ったのですが、あまり軽くいじるのもはばかられるような詞だったので、やめました。
それにしても読めば読むほど不思議な詞で、例えば手術が無事に成功して退院した日のことを歌っているのかなあ、それにしてもなんの脈絡もなく、どうしてだろうなあ、とずっと思っていました。
そこでとうとう思いあまって作詞者本人に直接質問したのです。タンゴの、退院した日の歌か? という問いにくわもくん「とゆーより、厚生施設を退所した日、すね」という返事でありました。その直後、くわもくんから次のようなフォローのメールが来たのです(許可のもとで転載します)。
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電話をきるときにふと、「オサラバ坂に陽が昇る」という言葉がよぎり、そうそう、と検索すると、ウィキペディアにこんな記述が。
オサラバ坂に陽が昇る(オサラバざかにひがのぼる)はTBS系列で1983年4月22日〜8月12日に放送されたテレビドラマ。
教護院(現、児童自立支援施設)で働くことになった一人の男の、様々な過去を持つ少年の更生に献身する姿を通し、人と人とのふれあいや生きることの意味を浮き彫りにする内容。2007年現在、再放送、DVDソフト化されておらず、ある意味貴重な作品。
この番組を見てて号泣。
当該のシーンと気持ちを歌にしたい、と、バイト中に書き始めた詞なのでした。だはは。
ひどい動機ですね。申し訳ないです。
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なるほど、まさに退所の日の歌、そのものなのでした。
このメールを井澤氏に転送し、厚生施設を出た少年のつもりで歌ってね、と身も蓋もない頼み方をしたところ、井澤氏は相当に悩んだ様子でした(笑)。
アレンジのイメージは、山下達郎の「クリスマスイブ」です。あれぐらいのテンポは聴いてて気持ちよく、また少ない楽器もなかなかにシンプルで心地よいのでした。とは言え、これでも実はギターだけで7台を使っているのでした。たくさんの楽器を使って一つの深みのある音を作りたいというのは、いつも考えているアプローチなのです。その意味では、ベースの音やドラムの音などは、まだまだ勉強が必要です。
なお、「おやすみなさい坊や」で寝て、「こんにちはおはよう」で目覚め、この歌で外へ出て行くという流れになっているのでした(笑)。可能ならこの間に夢見ているサボテンを入れられればカンペキであったのですが、同じボーカリストが続くので断念。残念でした。
アレンジ完成:2008.12.26
20 季節風 2:48
作詞・作曲:竹内比美子(1993年)
歌:丹後比美子
比美子が怒濤のように歌を作っていた頃の一曲です。自分のヨメをほめるのはなんだかどうもという気がしますが、こういう内省的な歌を作られると本当にうまいし、また、こういうトーンの歌を歌わせると実にいい味を出すのでした。
彼女の歌のキーワードの一つが「風」のようで、この歌も自分の未来を拓く象徴として風を描いています。また、2行目の「緑 木々は緑」というフレーズが実に印象的で耳から離れず、実はCDのタイトルを「木々は緑」にしようかと、直前まで迷ったものでした。その場合は、息子の描いた樹木の絵をジャケットに使うつもりでした。
サビのコーラスはソフト上で作ったものではなくて、本人の生の多重録音です。こういうコーラスも本当にきれいに聞こえます。
アレンジは昔のフォーク調。素直でシンプルなものにしました。イメージとしては、女性デュオのぺぺみたいな感じですね。
アレンジ完成:2008.12.30
21 海の色がかわるとき 2:33
作詞:加藤 綾 作曲:山口 晋(1977年)
歌:飯野陽司
山口君の代表作。この歌はけっこう人気が高く、90年代のメンバーも知っていて、山口君はこの一曲だけで「あの山口さん」という称号を手に入れたのでした。ほとんど「異邦人」ですな。
我々が卒業するときに作ったレコードに作曲者の歌で収録しました。そのときのアレンジが気に入っているので、今回もそれをベースにアレンジしています。
レコードの演奏の時、伊達君が「クロコダイル・ロック」のエルトン・ジョンのようなピアノを弾いてくれて「これはギターにやって欲しかったんですよ」とつぶやいたのを覚えています。
今回はそのピアノのバックはなし。ディストーションギターを思い切り全面に出したアレンジにしました。イントロの出だし、なかなか格好いいでしょ。
ボーカルは、親分です。いくらでも歌うよ〜と軽く歌ってくれました。このCDの録音で何度も我が家に足を運んでくれた親分、そのたびに息子、娘の遊び相手をしてくれたのでした。感謝。
アレンジ完成:2009.1.5
22 風のうた 2:35
作詞:土橋一夫 作曲:土橋一夫・泉野泰宏(1988年)
vocal:丹後比美子
80年代の童研を音楽面で支えていた土橋君の作品です。
土橋君によれば、歌い出しの部分を土橋君がつくり、その部分を部室で泉野君に聴かせたら一緒につくろうということになって部室でギターを弾きながら2人で完成させたそうです。
土橋君、「僕にとっては初の共作曲だったと記憶しております。思わぬ方向に行く共作の楽しさをこの時初めて学びました。詞は後からはめ込んだものです」とメールで教えてくれました。
残念ながら泉野君は、昨年急逝されました。まだ若く、これからというときに、さぞ悔しかったでしょう。彼は他にもたくさんの作品を残しており(「雨の子レイン」もそうです)、もっと形にして残していきたいと思います。
土橋君はいわゆるシティポップに造詣が深く、土橋君自らがアレンジした音源を聴くと、音は井上鑑でした。とても土橋君らしいアプローチでした。
ならばとタンゴも、自分には縁遠いシティポップに挑戦。井上鑑や、ましてやフィル・スペクターにはお呼びもつかないけれど、きらびやかで厚みのある音を目指してみました。志としては、というニュアンスですが。ヨメの裏声の、きれいな高音を伸びやかに響かせられたらという意図です。
なので、音はたっぷりと使っています。
エレピだけで3台、バイブでも2台、ギターは4台、ストリングスは7トラックも使っています。そのストリングス、高音、中音、低音の3つのパートで書いて、さらにそのオクターブ上、オクターブ下と用意しました。
これらを土壁のように重ねていくことで音の壁を作っていくわけです。もちろん言うのは簡単で、実際にそれをうまくできたかどうかは、また別の話ですが。
もっともこうなってくると、音の場所取りが難しく、まだまだ未熟です。全体がきれいな音の壁となって、ボーカルを包み込むような音が理想。道は遠いです。
土橋君にこのテイクを聴かれるのは、うーむ、ちょっと怖い(笑)。
ちなみに土橋君のメロディーの特徴は、狭い音域で作られていること。この歌も、1オクターブの中に多様なメロディーを詰め込み、ちゃんとサビも用意されているのでした。このメロディーメークは、なかなか真似できるものではないといつも感心します。
ボーカルは、比美子の裏声を最大限に使っています。本人が納得できる声を録るため、日を変えて何度もやり直しました。100点のできというのはあり得ないけれど、ある程度、納得のボーカルだったのでは。
アレンジ完成:2009.1.11
23 ぼくのお・か・あ・さ・ん 1:42
作詞:田中智子 作曲:伊達重明(1979年)
歌:丹後咲杜、丹後野乃花、丹後比美子
智子さんの技ありの歌詞を、やはり伊達君たちがレコードに入れました。そのときはえーじ君、鎌田、相川の3人が歌い、最後のコーラスにはタンゴも参加しました。鎌田の「あっさごはん」の一言が大受けでした。
今回は、これをブルースでアレンジ。前々からやりたかったように子供に歌わせました。
まず最初にでもボーカルをタンゴが歌い、それを聴かせながら一度録音しました。そのテイクを、クルマで出かけるたびに聴かせ続けたところ、難なくメロディーをしっかりマスター。次第に「もっと上手に歌いたい」というモチベーションも高まってきたようで、本人たちが乗り気になったところで本番を録りました。
息子はちょっと風邪気味でしたが、そのメロディーの外し方が子供らしくてとても楽しいです。また、2番を歌っている娘のボーカルは、親が言うのもなんですが、最高のシャウト。このボーカルは誰にも真似できないものでしょう。
なお、「おにいちゃんでしょ」と叱っている比美子は、息子の担任の先生の真似です。優しい先生ですが、叱るときはこのように冷静に叱るので、子供も「この先生を怒らせたら怖い」と思っているのです。コサカ先生という、とてもいい先生です。
アレンジ完成:2008.6.29
24 サイクリングのいちにち 1:58
作詞:大沢まゆみ 作曲:三浦美穂(1985年)
vocal:関川恵理子、丹後比美子
80年代半ばというのは、まるでカンブリア爆発みたいに山のようにステキな歌が作られていたようです。これもその一曲。軽快で楽しい歌です。
歌の中に出てくる名前は、当時の童研のメンバーの愛称だそうです。
メロディー的には「ペダルを踏んで」の「で」の音、コードでいえば増5度、つまりFならシの音が来るところが大好きです。とてもしゃれたテンションです。
僕がこの曲を初めて聴いたのはえりずーや比美子たちがつくった「創作童謡全集II」というテープでしたが、そこではカントリー調のアレンジでした。カーペンターズ「トップ・オブ・ザ・ワールド」のテイストは確かにこの曲によく合います。
しかし今回はギターをメインにした軽いアレンジにしました。カッティングの音がなかなかに気持ちいい、軽快なアレンジになったと思います。また、ミュートギターもリズムチームとして活躍。ノリが出せたと思います。ギターをリズム楽器的に使うのは、ポール・サイモンのビデオを見て覚えました。
ボーカルは、何も言わなくてもお任せのけろけろず。創作童謡全集でもそうだったように、ハモりなしの完全ユニゾンで歌ってもらいました。なかなかいい感じです。
最後、エンディングに実はけろけろずの口笛も録音したのですが、残念ながら没。代わりにシンセサイザーを入れました。
アレンジ完成:2008.11.16
25 ボクは空が大好きさ 3:04
作詞:奥田善雄 作曲:向笠則子(1984年)
vocal:飯野陽司、文野武
これも80年代半ばの曲。音は一度も聴いたことがありません。創作童謡集をめくっていて、目についた曲でした。楽譜が整っている曲というのは、音に出してもちゃんとしているものなのです。
作詞は名曲「世界じゅうメリークリスマス」の作曲者である奥田君。作曲は、これまた名曲である「夏のびんづめ」の向笠さん。シンプルですが、味わい深い歌です。
アレンジはフォーク調にして、2番で転調。12弦ギターをメインに使いました。サビのところのスライドが印象的にできたと思います。難しいフレーズを使わなくても、こうしたことで印象的なアレンジは可能なのだと改めて知りました。
ボーカルは、中山親分と文野くん。世代は離れても、柔らかな声質がよく似ている二人です。
1番は親分で2番が文野くん、リピートは二人でデュエットしています。思っていた通り、とても柔らかで優しいボーカルが録れました。
リピートのところは文野くんが「やってみましょうか」とその場でハモりを入れてくれました。さすがです。
このテイクは大好きで、何度も繰り返して聴いています。
アレンジ完成:2008.12.8
26 家路 5:01
作詞:武田嘉代子 作曲:井澤正(1980年)
vocal:井澤正
このCDで最も手間をかけた曲です。
学生時代に伊達君のアレンジで録音したときは、ピアノ一台で井澤君が歌いました。
この曲もいつかやりたいと思って、しかし、難曲であるがゆえになかなか手を出せませんでした。そろそろやってみるか、ということになってアレンジしました。
事前に井澤君とは、あまり大仰なものにしたくないということで意見が一致。サビの「かげぼうし〜」で始まるのがオリジナルですが、今回は静かに「すみれ色に〜」から始めたいという意向だったので、それを受けたアレンジにしました。
お聴きのようにクラシカルなアレンジに挑戦してみました。今回は他の曲では意図的にストリングスは抑えめにしたのですが、この曲ではストリングスを主役にしています。しつこいくらいに同じテーマを繰り返しているアレンジで、それがいい感じを出せたかなと自負しています。
難しかったのはボーカルでした。結局井澤君は、3日かけて31テイクまで収録。そのうちにテイク29と30を使っています。
防音も何もしていない丹後の自宅で裸で録音しているので、他のにぎやかな曲ではわかりませんが、こういうバラードになるとノイズがかなり厳しい。そこでノイズ除去ソフトを使ったのですが、これが使いすぎると音質そのものが変わってしまうので、ちょうどいい頃合いを見つけるのに苦労しました。
結局、井澤氏からOKをもらってもいじり続け、一番最後までミックスを繰り返しました。それでもノイズが残ったり、歪んでたりするのは、丹後の未熟さ。このあたりが今の技術と環境の限界と思います。
井澤君のボーカルの特徴は、ダイナミクスが大きいというか、音量の大小が実に激しいことです。ライブで聴くぶんにはわかりませんが、録音となると、その大小差が難敵。細かくボリュームコントロールしています。言葉の一文字単位でコントロールしているところもあるほどです。
実は、子音のボリュームを上げると音を大きくしなくても言葉がはっきり聞こえるので、場所によっては細かく子音のみを突いて調整しています。こういう作業はなかなか難しく、かつ、楽しいものです。
せっかくの名曲に名ボーカルなのに、丹後の未熟さで十分にその魅力を再現できなかったのは悔しいのですが、雰囲気の一端は感じていただけると思います。
アレンジ完成:2008.11.26
27 僕たちの出発(たびだち) 3:29
作詞:藤田利典 作曲:宮内秀之(1976年)
vocal:飯野陽司
I'll See You In My Dreamsという歌があります。丹後がこの世で二番目くらいに好きな曲です(一番好きな歌はその時々で変わるけど、二番目はずっとこの歌)。
1920年代につくられたスタンダードナンバーで、丹後は学生時代にチェット・アトキンスとマール・トラビスというギタリストのコラボアルバムでこの曲を耳にし、以来、フェバリットナンバーとして大切にしています。(ちなみにマーク・ノップラーというギタリストが演奏するこの曲は凄い。あれほどギターが"歌う"というプレーは他にないと思います)
そしてこの曲を、ジョージ・ハリスンの追悼コンサートでウクレレ抱えながら歌ったのが、ジョー・ブラウンという歌手でした。その美しいメロディーと、広い会場いっぱいに舞った紙吹雪が実に感動的で、なんというか、とにかく浸りきってしまったのです。YouTubeですが(笑)。
そして、このアレンジを再現してみたいなあと思って手がけたのがこの曲だったのです。
原曲は、丹後が1年の時のミュージカル(12月公演)「モラッタ王国のお話」のカーテンコール・テーマ。このミュージカルでは、丹後は山口君と一緒に町人A・Bと像の足をやりました。ちなみに王様役は中山親分、白いタイツの王子が安藤君、舞踏会の知らせを魔女の家まで届ける家来は伊豆原君。その伊豆原君が今回のCDでは王子様だなんて、なんという奇縁…などいうことはどうでもよくて、まあ、そういう原曲でした。
そして、当時1年生の丹後は先輩方に見込まれてか、このミュージカルの大部分のアレンジを任されたものでした。
そんなわけで、いろいろと思い入れ深い曲であります。
そして今回はボーカルを王様だった中山親分にお願いしました。まさに絶品のボーカルです。ほとんど手を加えていない素材のままのボーカルで、こういう歌になると、親分、まるであのジョニー・キャッシュが人生を歌うときのような、実に深みのあるボーカルを披露してくれるのでした。CDのエンディングにはこれ以外にないというボーカルだと思います。
なお、間奏のストリングスは大好きな「I'll See You In My Dreams」のメロディーをちらっとなぞっています。ほんと、きれいな曲なのです。
いずれにせよ、32年前に出発してから僕たちは、ずいぶんと遠いところまで来たんだなあという感慨を抱かせてくれる歌なのでした。
アレンジ完成:2008.8.8
今回、最初にアレンジしたのが「かざぐるま」で最後が「海の色が変わるとき」でした(完成後にも手を入れているので、各曲の表記とは異なりますが)。実はアレンジを始めたものの、うまくいかずに挫折した曲もいくつかあります。
ヘタはヘタなりに経験を積んだせいか、アレンジはそれなりに慣れてきて、作業も早くなりました。その分、最近ではミックスに時間がかかるようになっています。これは経験を積んだことで以前わからなかったことがわかるようになり、いろんなトライをしながらミックスするようになったからです。試行錯誤で、失敗も多いけれど、それはそれで面白いものです。
楽譜を書き、MIDIを制作してシンセサイザーに打ち込み、デモボーカルを録ってラフミックスをして、クルマの中でチェックする。気に入らないところは修正してまたチェックする。オケができたら歌ってくれる人に送って、録音日程を調整する。
そんなことの繰り返しをやっています。もちろんまったくの趣味ですが、それが実に面白いのです。
ほとんどの知識と技術を、本や雑誌で学びました。独学です。だから一つのことを知るのにすごく時間がかかるし、今のやり方が正しいかどうかもわからないけれど、まあ、趣味とはそういうものだということで。
歌手の皆さんには、毎回、たいへんにお手数をおかけしています。日程を合わせてわざわざ丹後湯まで足を運んでくれました。本当にありがとうございます。
その丹後湯ですが、スタジオのふりをしていても実はスタジオでもなんでもなくて、単なる普通の部屋です。クルマの音も鳥の声も、全部普通に入ってくる、木造住宅です。そこにポンとマイクを置いて録っているわけで、いつもこの環境はどうにかしたいけど、どうにもならないなあとあきらめています。
もちろんレンタルスタジオを借りて録音するのは十分可能なんですが、そこまでいっちゃうとちょっと大げさかなあと。このあたりはこの先も迷うことでしょう。
なお、今回は歌手の皆さんには全員芸名をお願いしました。わかりやすいもの、わかりにくいもの、様々ですが、その意味もお楽しみください。
ジャケットはいつものように井澤君のデザインです。忙しい中、こちらの注文に心地よく応じてくれ、ご覧のような可愛らしいデザインとなりました。
もちろん一番喜んだのは、自画像を描いた娘と、いちごの絵を描いた息子です。子供たちにもいい記念になりました。
名称について。
10年前にDTMを始めた時、架空のバンドという遊びにしたいと思って意味もなくつけたのが「オルケスタ・デ・ラ・タンゴ」という名前でした。後で知ったのですが、オルケスタ・デ・タンゴというバンドは実在するようです。
このオルケスタ・デ・タンゴには宝塚方式を導入。風組、林組、火組、山組に別れて活動し、アルバムを4枚つくって風林火山というベストアルバムを出すのがゴール、とバカなことを考えたのでした。
これが意味不明のオルケスタ・デ・ラ・タンゴ風組という名前の真相です。
これにちょっと間が空いた後の復活ということでリターンズとつけ、フォーエバーと続いて3枚目はランサルセ。どういう意味かというと、プロレスの技の名前なのでした。
意図はまったくなくて、かっこいい技だから名前を借用しただけであります。
さすがに10年もたって飽きてきたので、ぼちぼちオルケスタ・デ・タンゴという名前は捨てちゃおうかなと思っていますが。
それからレーベル名というかスタジオ名というか、もっとわかりやすく言えば屋号となっている「ねりま丹後湯」ですが、以前、録音に来た伊達君が「歌っているとお風呂に入っているより気持ちいい」と言ってくれたことがあって、ならばと「丹後湯」とつけたのでした。それが引越に伴って頭に「ねりま」をつけたわけです。
この屋号は自分でも気に入っているので、しばらく使いたいと思います。お金があるなら、ノベルティとして屋号入りの手ぬぐいでも作りたいくらいです。タヌキの置物はあるし。
さて、オルケスタ・デ・ラ・タンゴ風組の復活CDもこれで3作目。1年に1枚のペースで出すことができました。当初から3枚はつくろうと決めていたので、いったんこれで一区切りにします。
一区切りにして、また同じようなCDをつくるかもしれないし、別の形のCDにするかもしれませんが、とにかく気持ちの上では一区切りです。
例によって堅いことを言うつもりはありませんが、商用目的でのご利用の際は事前にご一報ください。他人様の作品を勝手に使って、勝手にアレンジしているものですから。商用の際は、タンゴが手を尽くして作者とコンタクトを取りたいと思います。
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ORQUESTA DE LA TANGO KAZEGUMI LANZARSE
スコアメーカー5.0(KAWAI)/ CubaseSL3(Steinberg)/
melodyne(celemony)/VintageWarmer Plus(PSP Audioware)/
SoundEngine ver3.05(Cycle of 5th)/ MW10(YAMAHA)/
MOTIF-RACK ES (YAMAHA)/ UA-24(Roland)/
Cardinal(ElectroVoice)/ RH-A30(ROLAND)/
MDR-CD900ST(SONY)/ AMP800(BEHRINGER)/
DIMENSION9150(DELL)/ MP970(Canon)/
CreatorClassic(SonicSolutions)/CD-RW(BUFFALO)
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vocal
飯野陽司 伊豆原哲彦 大沢英里子 吉江英司
伊達重明 井澤正 文野武 関川恵理子
丹後野乃花 丹後咲杜 丹後比美子
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all songs arranged & produced by 丹後雅彦
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2008年4月26日〜2009年1月30日
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Manufactured by
一枚一枚まごころ込めた手焼きがモットーの
練馬せんべいレコード社
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With a help from my kids 咲杜&野乃花(illustration)
With a help from my friend いさわ・ただし(cover design)
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本CDの選曲、編曲、歌唱、意匠、配布のすべてについての責任は丹後雅彦が個人的に負うものです。